歴史好きの私にとって、特に大好きな時代に「南北朝時代」があります。目まぐるしく入れ変わる実権、同時期に二人存在した天皇、京と鎌倉の地での争いが全国へ飛び火する。飛び抜けた勝者がいないだけに、複雑に絡みあって分かりづらいところが、様々な視点で見れて実に面白いです。

とはいえ、歴史は勝者がつくるもの。「太平記」は、足利尊氏・楠木正成・後醍醐天皇・新田義貞を中心に展開するため、「中先代の乱」で北条時行の名前は知っていたものの、いわば鎌倉幕府の残党のイメージ。これまで、その生涯を詳しく知る機会がありませんでした。

今回、この漫画「逃げ上手の若君」を読むうえで、北条時行を少し調べてみましたら、とても興味深い人物です。本来であれば、将来が約束された得宗家執権の地位。しかし、一転、家来だった足利氏の裏切りにより鎌倉は陥落。一族もろとも攻め滅ぼされてしまう。

ただ、ここで生き延びたのが時行。後に鎌倉を三度も奪い返す活躍をみせます。最終的には捕まり斬首となったものの、歴史に翻弄されつつも懸命に生きた人生だったと思います。

今回、「逃げ上手の若君」1話〜3話をみました。ストーリーの切り口が斬新で素晴らしいです。そもそもマニアック感のある時行。とりわけ、高氏と時行の対比・神官家諏訪氏と時行の関係は面白いです。さて、この先の登場人物をいかに描くのか?興味深いところですねぇ。

私が注視するのは、後醍醐天皇をどう描くのか?です。北条氏を滅ぼした首謀者にもかかわらず、後に反足利として南朝側と手を組みます。主人公としての立ち位置が人気を左右すると思います。

また、ラストをどう締め括るのか?逃げ延びて幕府再興の願いは叶わずとも天命を全うした…となればカッコいいのですが。逃げ上手というのに、結局は捕縛され斬首。しかも、二十代と若い。となると、主人公としては少しテンションが下がる気がします。

とにかく、今後の展開が楽しみですねぇ。幸い時行の史実資料は少ないので、大胆なストーリーでも誰も文句言わないでしょう。新たな仮説でも全く問題ないかと思います。期待しています。がんばります!ではっ!