つい最近、昔の映画の方がいい!って言いましたけど。
録画していた映画『悪人』を観て、撤回しなければならないと思いました。

ひねくれ者の私は、話題になったとか、賞をとったとか映画は、どうも嫌いで。
この映画も、有名俳優を揃えての話題重視、内容二の次と思っていたんです。
期待せず、とりあえず、観てみたら、その思いは、完全に覆されました。
というか、そう思ったことが、制作した人々に申し訳ない気持ちになりました。

しかし、何故か、いつのまにか殺人犯祐一に感情移入してしまって。
ニュースでは、出会系サイトでの殺人事件と残忍性だけを報じるでしょうけど。
実は、その裏に潜む様々な要因や人間のリアリズムは知るよしもありません。
世間が貼るレッテルが、いかに平面的かつ断面的か?痛感しましたねぇ。

それと、嬉しかったのは、随所に出てくる福岡・佐賀の身近なロケ地。
渡辺通り、けやき通り、東公園、三瀬峠、佐賀駅、呼子、紳士服のフタタ等々。
けやき通りなんて、いつも歩いている書店前でのシーンでしたから。
これは、ロケ地めぐりしたい!って人は、いっぱいいるでしょうねぇ。

また、映像で気になったのが、ぼかし。
殆どの場面で、ぼかしが使われていましたけど。
これは、現実と幻想を行き交う感情を表現するのに有効だったと思います。
とりわけ、呼子で殺人を告白するシーンでのぼかしは新鮮でしたねぇ。

ともかく、日常に潜む身近なのに、気付かない深刻な問題提起をしています。
それぞれの立場がリアルに表現されて、複雑だけどシンプルさを感じます。
より多くの人が観て、議論してみるのも良いかもしれませんねぇ。
素晴らしい映画だと思います。
がんばります!ではっ!