今日、設計事務所の社長さんと話す機会がありました。福岡でも、不動産建設会社の大型倒産が相次ぐ中、設計事務所においても、その煽りを受けているそうです。ましてや、耐震偽造問題以降、建築基準法改正により、時間とコストがかかることで、建築すること自体が、経営として成り立たない状態に陥っているようで、従事してきた人にとっては益々厳しい時代をむかえたと思います。

ただし、これは逆を言えば、既存の建物に意識や価値が移る始まりなのでは?と感じていますし、更には、築年数が古いから償却してしまっている!との見方は、だんだん古くなってくると考えています。現実、築50年でも60年でも、立派な建物はいくらでもある訳でしょう。この建物が耐震審査や性能審査をしていないから、他の建物より劣っていることはないでしょう。

これからの動向を占うヒントは、我々が建物を“物件”と呼ぶことに対して、社長さんは“作品”と呼ぶ、その言葉にあるような気がします。例えば…。手塚治虫の住んでいたトキワ荘が現存していて、各部屋が区分所有で売り出されたら、どうなりますかぁ?(ありえませんけど)ここは仮面ライダーを生んだ石ノ森章太郎の部屋、ここはドラえもんを生んだ藤子不二雄の部屋、ここはバカボンを生んだ赤塚不二夫の部屋、なんて物件が性能耐震基準じゃないからって、買う人がいないとは思えません。多分、所有者は、現状を維持しつつも、今の基準に見合うように、梁や土台を補強しながら、作品を後世に残そうとするでしょう。極論でしょうけど、これからのマンションも、こんなイメージになるべきと思います。

不景気風が吹いて年末は、設計士さんはじめ不動産建築業界は、かなりのダメージを受けるのかもしれません。しかし、ピンチは一転してチャンス。発想や視点を変えて、浮ついた気持ちを捨て、もっとシンプルに、時代と共に生きることです。今が歴史になり、物件が作品になる、そんな過渡期だからこそ。…です。頑張ります!ではっ!