最近、フォトエッセイを掲載する際、起源とのペンネームを使うのですが、その由来を教えて欲しいとのメールが数件きましたのでお答えいたします。

この“起源”とは、大学生になって直ぐの頃、学生寮で同室の先輩につけられた私のニックネームです。その先輩いわく、大学のテキストになっていたエンゲルスの古典『家族私有財産及び国家の起源』からとったそうです。当時は、何気に思っていたのですが、4年もこのニックネームと付き合っていると、いつの間にか愛着が湧いてきて。未だに、思い出したりする訳です。

でも、振り返ってみると、今の私がある人生のターニングポイントは、はじめて親元を離れ、全く知らない土地で、全く知らない人との生活へ飛び込んだ、まさに、その時。何の確証もなく、何の見通しもなく、桜色に染まった博多駅から旅立った時の気持ちを“起源”という響きが思い出させてくれるんです。

そんな私も、41歳。時には、ずるくなったり、横柄になったり。世間で生き抜く為に、と言いながらも、逆に、何か置き去りにしてしまったものがあるような気がしてならない自分がいたりで。だからこそ、もう一度、自分の原点に戻って、いろんな事やいろんな物に出会いたい、そんな思いを、この起源とのペンネームには込めています。

仕事もそう、プライベートもそう。決して、色メガネで見ることなく、見たまま、感じたまま。シンプルに。これからも、励んでいきたいと思います。